いっとこだんご 

 むかし、親孝行(おやこうこう)息子(むすこ)がいてね。
お母さんが病気(びょうき)()てて、
「だんご食べたい」って。
「だんご()ってきてくんろ」っていうので、
「よし、わかった。」
息子はすぐにだんごを買いに行ったんですよ。

「だんご、だんご。」
はなは(はじめは)そう言っていたんですがね。
途中(とちゅう)まできて、(ほり)っことびこえるときに
「いっとこさ。」って言ったら、それからはずっと
「いっとこさ。」になっちゃって、
お店に行って
「いっとこさください。」
って言ったら、
「そんなのねえ。」って。

(かえ)りにまた堀っことびこえたら
転んでおでこに大きなこぶつくっちゃったんですよね。
それで家へ帰って
「いっとこはなかった。」
っつったら、お母さんが
「だんごのようなこぶをつくってどうしたい。」
って聞いたって。

そしたら
「そうだ、だんご、だんご。」
って思いだしたっていうんですよね。

(白岡町史(ちょうし)民俗編(みんぞくへん)〜より)

豆知識(まめちしき)
 白岡
味彩(あじさい)センターのホームページにもこの「いっとこだんご」のお話が紹介(しょうかい)されていました。味彩センターにある「いっとこ茶屋(じゃや)」の「いっとこ」は、このお話からつけた名前だったんですね。
 白岡町史にはこのほか、「どっこいしょだんご」というお話もあります。